【株価指標の基本】PER・PBRの計算方法から分析方法までわかりやすく解説!
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今回は、株価が「割安なのか割高なのか」を判断するときに欠かせない PER(株価収益率) と PBR(株価純資産倍率) という2つの指標について解説していきます。
個別株を見始めると、「この株、今の株価は高いのかな?安いのかな?」と気になることが必ず出てきます。そんなときに手がかりになるのがPERとPBRです。とはいえ、「名前は聞いたことがあるけど、計算方法や見方はよくわからない」「何倍なら割安なのか判断できない」と感じている人も多いのではないでしょうか?ゆとらも投資を始めたころは、PERの数字だけを見て「低いから割安だ」と判断してしまっていた時期がありました…
この記事では、PERとPBRについて、①どんな指標か ②計算方法 ③どのくらいの数字が目安か ④使うときの注意点、までをまとめて解説します。読み終わるころには、株価の割安・割高を自分なりの根拠を持って考えられるようになるはずです!ぜひ最後まで読んでください。
PERとは
PER(Price Earnings Ratio) は「株価収益率」と呼ばれ、株価が1株あたり純利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標です。ひとことで言えば「その会社の利益に対して、株価が割安か割高か」を測るものさしになります。
PERが低いほど、稼ぐ利益に対して株価が安い(割安)とされ、逆にPERが高いほど、利益に対して株価が高い(割高)とされます。ただし後述しますが、「低ければ買い」「高ければ売り」と単純に判断できるわけではない点には注意が必要です。
なお、計算に使うEPS(1株あたり純利益)については、別記事のEPS・BPS・フリーキャッシュフローの解説で詳しくまとめていますので、あわせて読んでいただくと理解が深まります。
計算方法
PERの計算方法は以下のようになります。
PER(倍)=(株価)÷(EPS:1株あたり純利益)
たとえば、株価が2,000円で、EPSが100円の企業があったとします。このとき、
PER=2,000円 ÷ 100円 = 20倍
となり、「この会社は1株あたりの利益の20倍まで株価が買われている」と読み取れます。
別の見方をすると、PERは「今の株価を、1年分の利益の何年分で回収できるか」を表しているとも考えられます。PERが20倍なら、利益が今のまま続けば理論上は20年で投資額を回収できる、というイメージです。この考え方を知っておくと、PERの数字が持つ意味を直感的にとらえやすくなります。

上のグラフは、トヨタの10期分(17年3月期~26年3月期)のPER推移です。各期の最高株価・最低株価を、その期の1株あたり利益(希薄化後・連結)で割って算出しています。最高株価ベースで9〜13倍台、最低株価ベースで5〜10倍と、おおむね10倍前後のレンジで推移しています。利益が大きく伸びた期は、株価が同じでもPERが下がる(=割安に見える)のがポイントで、2024年3月期の最低4.9倍あたりがその一例です。
PERの目安は何倍?
ここが多くの人が一番知りたいところだと思います。一般的に、日本株のPERは15倍前後が平均的な水準の目安とされることが多いです。
おおまかには、
PERが15倍より低い → 利益に対して株価が割安な傾向
PERが15倍より高い → 利益に対して株価が割高な傾向
と考えられます。
ただし、この「15倍」はあくまで大まかな全体平均です。適正なPERの水準は業種によって大きく異なります。 高い成長が期待される情報・ハイテク系の企業はPERが高くなりやすく、成熟した業種や成長が緩やかな業種はPERが低くなりやすい傾向があります。
そのため、PERを見るときは「同じ業種の他社と比べてどうか」「その会社の過去の水準と比べてどうか」という相対的な見方が欠かせません。

上のグラフは、プライム市場の業種別の加重平均PERです。
プライム市場全体の加重平均は20.4倍。そして業種ごとに見ると、その差は非常に大きく、高いところでは電気機器の50.3倍、低いところでは空運業の8.8倍と、同じ市場の中でも5倍以上の開きがあります。成長への期待が大きい電気機器・精密機器・サービス業などは平均より高く、成熟した業種や景気の影響を受けやすい業種は低く出ています。
これを見ると、「PERが25倍だから割高」「10倍だから割安」といった「PER15倍が適正」という一律の物差しで判断することが、いかに危険かが分かります。ある業種では平均的な水準でも、別の業種では飛び抜けて高い、ということが普通に起こるからです。だからこそ、PERは同じ業種の中で比べることが欠かせません。
PBRとは
PBR(Price Book-value Ratio) は「株価純資産倍率」と呼ばれ、株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍まで買われているかを示す指標です。PERが「利益」に対する割安・割高を測るのに対して、PBRは「純資産(会社の財産)」に対する割安・割高を測ります。
BPSは会社が解散したときに株主へ理論上分配される「解散価値」とも言われます。そのため、PBRは「株価が会社の解散価値の何倍で取引されているか」を表しているとも考えられます。
計算方法
PBRの計算方法は以下のようになります。
PBR(倍)=(株価)÷(BPS:1株あたり純資産)
たとえば、株価が2,000円で、BPSが2,500円の企業があったとします。このとき、
PBR=2,000円 ÷ 2,500円 = 0.8倍
となります。この場合、株価が1株あたりの純資産(=解散価値)を下回っている状態で、いわゆる「PBR1倍割れ」と呼ばれます。

上のグラフはトヨタ自動車の過去10期分のPBR推移のグラフです。各期の最高株価・最低株価を、その期の1株あたり純資産(連結)で割って計算しています。最高株価ベースでもおおむね1.0〜1.5倍、最低株価ベースになると0.7〜0.9倍とほぼ毎年1倍を割っているのが分かります。日本を代表する優良企業でも、株価が安い局面ではPBRが1倍を下回ることは珍しくありません。
PBRの目安は何倍?
PBRの目安としてよく使われるのが 1倍 です。
PBRが1倍 → 株価と1株あたり純資産が等しい状態
PBRが1倍より低い(1倍割れ) → 株価が解散価値を下回っている状態
PBRが1倍より高い → 株価が純資産を上回って評価されている状態
理屈のうえでは、PBR1倍割れは「会社が今解散して資産を株主に分配したほうが、株価より価値がある」という状態を意味し、割安のサインとされることがあります。
ただし、PBRが1倍を割れているからといって、それだけで「買い」と判断するのは危険です。1倍割れには「市場から将来性が低いと見られている」という側面もあるためです。実際、近年は東京証券取引所がPBR1倍割れの企業を含む上場企業に改善に向けた対応(2023年3月、東証「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」)を求めており、PBRは以前にも増して注目されている指標になっています。

上のグラフはプライム市場のPBRの業種比較です。
プライム市場全体の加重平均は1.8倍。注目したいのは、トヨタの属する輸送用機器が0.9倍と、業種の平均そのものが1倍を割っている点です(赤色のグループ)。トヨタ1社だけでなく、自動車業種全体が平均でPBR1倍割れの状態にあります。東証のPBR改善要請が特定の企業ではなく、業種をまたいだ市場全体のテーマであることが、この図からも見えてきます。
PERとPBRの違いと使い分け
ここまで見てきたPERとPBRの違いを整理すると、次のようになります。
PER:利益に対する割安性を見る指標(会社の「稼ぐ力」に対する評価)
PBR:純資産に対する割安性を見る指標(会社の「財産」に対する評価)
どちらも「株価の割安・割高」を測る指標ですが、見ている対象が「利益」か「純資産」かが異なります。 そのため、この2つは片方だけで判断するのではなく、セットで見ることが大切です。
実は、PERとPBRとROEには次のような関係があります。
PBR = PER × ROE
ROE(自己資本利益率)は「純資産をどれだけ効率よく利益を出せているか」を示す指標です。この式から、PBRの高さはPER(利益への期待)とROE(資本の効率)の掛け算で決まると読み取れます。
PER・PBRを使うときの注意点
最後に、PERとPBRを実際に使うときに気をつけたいポイントをまとめます。
① 「低い=割安」と単純に決めつけない
PERやPBRが低い会社には、「市場から将来の成長や収益性が低いと見られている」ケースが含まれます。数字が低いことには理由があることも多いため、なぜ低いのかを財務状況や事業内容から考えることが大切です。
② 業種ごとの水準の違いを踏まえる
前述のとおり、適正なPER・PBRの水準は業種によって大きく異なります。異なる業種の会社をPERやPBRの数字だけで比べても、あまり意味のある比較にはなりません。同業他社との比較や、その会社自身の過去との比較を基本にしましょう。
③ 一時的な利益で数字がゆがむことがある
PERの計算に使うEPS(利益)は、特別利益や特別損失などによって一時的に大きく変動することがあります。その年だけ利益が跳ね上がったり落ち込んだりすると、PERも実態とかけ離れた数字になります。単年だけでなく、複数年の推移を見て判断すると誤解を減らせます。
④ 赤字企業ではPERが計算できない
EPSがマイナス(純損失)の企業では、PERは意味を持ちません。赤字の会社を評価するときは、PERだけに頼らず、PBRや事業の中身など別の切り口から見る必要があります。
まとめ
今回はPERとPBRについて解説しました!どちらも株価が割安か割高かを考えるうえで欠かせない、基本かつ重要な指標です。数字の大小だけで判断せず、「なぜその水準なのか」を財務や事業から考えられるようになると、投資の根拠がぐっと厚くなります。
- PER(株価収益率)=(株価)÷(EPS) 利益に対する株価の割安・割高を示す。
- 日本株では15倍前後が一つの目安。
- PBR(株価純資産倍率)=(株価)÷(BPS)
- 純資産に対する株価の割安・割高を示す。
- 1倍が一つの目安(1倍割れは割安のサインとされることがある)。
- PBR = PER × ROE の関係がある。
- PER・PBRはセットで見る、業種・過去と比較する、低い理由を考えることが大切。
PERやPBRがわかると、これまで解説してきたEPS・BPS・ROEといった指標ともつながって、企業を見る視点が立体的になっていきます。よければ関連する指標解説の記事(EPS・BPS/ROE・自己資本比率)もあわせて読んでみてください。それではまた次の解説でお会いしましょう!
参考資料
日本取引所グループ(JPX)「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧」 https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/misc/04.html
東京証券取引所「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」(2023年3月31日)
注意
本記事で紹介している分析方法等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。また、本記事の分析は記事公開時の情報に基づいています。同日以降に発表された情報などは反映していませんので、あらかじめご了承ください。
ゆとら
投資歴5年目。簿記2級/FP2級/ビジネス会計検定2級。
有価証券報告書・決算短信・決算説明資料といった企業の一次情報を読み、数字の背景にある事業の仕組みまで研究し記事を執筆することを意識しています。
「自分の目的に合った投資で、資産を着実に育てる」——そのための判断材料を1つ増やすことを目指して運営しているブログです。

